チェッカーズ「SCREW」(1988)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001DD2YM/qid=1096038570/sr=1-17/ref=sr_1_2_17/250-4691391-8478637

 1988年頃の邦楽状況を端的に述べると、BOφWYやブルーハーツの台頭によるロックバンドのメジャー化、そして歌う者が自ら作詞作曲を手がけるケースが多くなったという2点に集約される。特に後者は「自分で曲作って歌う奴がいちばん偉い。」という風潮を作り出し、小林武史伊秩弘将はこの年にソロデビューして、自分で曲を書いて自分で歌っている。
 チェッカーズは幸運にもその2年くらい前から自作曲を全面に押し出していたので、「作らされているアイドル」という見方から逃れられることができた(できなかったのがC-C-B)。とはいえ芹澤廣明指導のもと歌謡曲テイストもしっかり身に付いているので、「歌謡ロック」的な作風どまんなかで貫かれてた楽曲が揃っているのがこのアルバムである。後のGLAYやイエローモンキーが戦略的に、ロックと歌謡曲を融合していたのに比べて、チェッカーズは自らの血肉となっていた歌謡曲を、自然体で執り行っている。

 歌詞も、それこそ当時のビートバンドが積極的に盛り込んでいた「表層的な社会風刺」が多くなってくるのだが、テレビに出まくっている人たちが忌野清志郎のような過激なことも言えないだろうし、という程度(RCサクセションの「COVERS」もこの年)。「大人のチェッカーズ」を目指した曲なのに、まさか1年後に木梨憲武のギャグのネタにされるとは思えなかったであろう「ONE NIGHT GIGOLO」。この曲が「Good Night」という曲の次に来ているところがシャレがきいてる。自分たちの青春を回顧する曲「Standing on the Raibow」(この年の「高校生クイズ選手権」のテーマ曲だった)など収録。
 ところで、今聴いてみると、シングル曲「Jim&Janeの伝説」も「Blue Rain」も仲間の死だの十字架だの、「死」をイメージしているし。チェッカーズって「ギザギザハートの子守歌」から死がモチーフになってるな。今回のクロベエの件を暗示しているのかどうかわからんが。