チェッカーズ「OOPS!」(1990)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001DD2Z6/qid%3D1078852604/sr%3D1-1/ref%3Dsr%5F1%5F26%5F1/249-9547471-2833112

 事務所を移籍し、全曲オリジナルでいくことにしたチェッカーズは、徐々にソロ活動が多くなっていった。ソロと言っても自身の楽曲を出すだけでなく、ドラマやバラエティなど芸能色の強い方面へのレギュラー出演も含まれていた。その活動が最も多かったのは鶴久と高杢で、ソロアルバムも彼らが中心でリリースされていた(尚之もソロ活動を音楽に限ってアルバムを多く出していた)。

 バンドブーム真っ盛りの時期にシングル「Friends and Dream」「運命(さだめ)」「夜明けのブレス」などで対抗したチェッカーズは、この年のアルバムでシングル曲をまったく入れなかった。高杢本によると「クラブに行きまくってイケイケだった時代。自分たちの楽曲で何でもできると勘違いしていた時代」らしいのだが、確かに「当時の東京で遊びまくっている人が聞く音楽」路線になっている。それが成功しているかどうか別として。
 16ビートや打ち込みを積極的に採用。曲間にS.E.や効果音を入れてクラブでかけやすいように(たぶん)エンドレスに。
 「100Vのペンギン」の歌詞「ふらりとコンビニでアダルトビデオ盗み出口で腕つかまれる」というところは、日常生活のアイテムとして「アダルトビデオ」を出すところが藤井フミヤらしいというか。でもこの曲の別のところでは「失脚の古傷も記憶もなくこの島国に生まれてきた」と、当時の社会情勢が織り込まれているし、これらの言葉が並立しているいところがなんともシュールでサイケな雰囲気を醸し出している。
 こうした特色を持ったアルバムの中でも「KISS」「一週間の悪夢」「眠れるように」といったバラード群は彼らの面目躍如。