チェッカーズ「I have a dream」(1991)
チェッカーズのたいていのアルバムには鶴久と高杢のソロが含まれている。このアルバムにも高杢が1曲、鶴久が2曲歌っているが、通しで聴くとフミヤの歌のうまさと彼ら二人の下手さが目立ってしまう。下手さというのは正確に言うと、出せる音域が限られているために、自分の能力の限界を越えたキーに対応できず、ところどころ「外れてる」のがわかってしまうところにある。
このアルバムの前年にジョン・レノンの特別番組に出たチェッカーズはビートルズ時代の「愛こそはすべて」を歌った。表題曲の「I have a dream」は、最初と最後にバージョン違いで収録しているが、後者のバージョンは、聴く人が聴けば「愛こそはすべて」のアレンジそのまんまだとわかる。この年、湾岸戦争が勃発し、ミュージシャンはこぞって反戦や世界愛といった楽曲を出していた。
曲によっては「YOU」のように、キーボードとストリングスだけ、つまりチェッカーズのメンバーがほとんど参加していないと思われるような曲もあり、こういう楽曲が成立するならチェッカーズでなくてもいいやとフミヤは思ったんではないか。
「90's S.D.R」、「I have a dream #2」では、東京スカパラダイスオーケストラ(北原雅彦・GAMOU・冷牟田竜之・NARGO・谷中敦)が参加。