藤子不二雄ランドと私

ネットを見ていると20代から30代真ん中ぐらいあたりまでの人で藤子不二雄ネタ、特にドラえもんネタを文章に絡ませている人が多い。昔のジャンプネタと同じぐらいに。これがちょっと上の世代になるとあまりドラえもんを語らない。知り合いの人によると「俺らぐらいの時にはコロコロコミックがなかったから」という意見を出していた。これが理由かどうかは別にして、藤子不二雄が共通言語として語られる理由として、前述の年代が幼稚園から小中学生だった頃に、出版物やアニメといった藤子不二雄著作のコンテンツが、現在よりずっと豊かだったからというのがあるんじゃないかと。そう思うのね。「昔はよかった」的な物言いになるけど。
 中でも中央公論社、現在の中央公論新社から毎週発売されていた「藤子不二雄ランド」は、当時二人組だった彼らの著作を、コミックス未収録分も含めて刊行するというものだった。刊行が開始された当時はまだ小学生だったし、一冊380円で月に4、5冊出るんだからお小遣いじゃ当然全部買えない。今だったら買えるのに。『21エモン』とか『エスパー魔美』とか買ったような憶えがあるけどありゃまだ実家にあったかな。確か7年ぐらい刊行して、僕が受験生ぐらいの時に『最後の世界大戦』(デビュー作品で初版本がとんでもねえ値段になってるやつ)が出て「藤子不二雄ランド第一期完結」となったと記憶している。コンプリートした方は世の中にどれだけおられるのでしょうか。
 当時はまさか、こんなに簡単に絶版になるとは思ってなかったし、ましてやオバQが版権でもめて出せなくなるとか、ジャングル黒べえが差別問題に抵触して出せなくなるなんて思ってやしませんでしたよ。オバQは旧の方でも20巻ぐらい出ていて、てんとう虫コミックスから出ていたものの倍以上あったし。
 今は「藤子不二雄Aランド」が出てますが、Fの方もなんとかならないもんか。そもそもFが今でも生きていたらここまで世の中おかしなことが回転しなかったと思うんですが。ドラえもんのアニメのEDで辻加護なんて絶対許されなかっただろうに。